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【ウクライナ侵攻】ロシアの侵略を許すと国際秩序が崩壊する 元海上自衛隊幹部の方の説明がわかりやすい

ロシアのウクライナ侵略の何が悪いのか、という点について、元海上自衛隊の幹部という方の説明がとてもわかりやすかったので、簡単にまとめておきます。正確にはこちらの動画(約32分)をご覧ください。

「オオカミ少佐のニュースチャンネル」(2022年3月2日投稿)より

内容 ロシアが悪い理由について

・ロシアのウクライナ侵略は「どっちもどっち」ではなく、現在の国際秩序とは相容れない
・ロシアが悪い

理由

現在の国際秩序の根幹は2つ。
①力による現状変更の禁止(侵略戦争の禁止)
②主権平等。大国も小国も主権は平等
ロシアの侵略はこの2つの原則をどちらも破っている。

プーチン大統領の改選前演説

①ウクライナはロシアの一部。主権国家として認めない
②クリミアはフルシチョフが法的根拠なくウクライナに移管した。法的根拠はない。本来ロシアのもの
③ロシアのNATO東方不拡大要求に満足な回答なく、安全保障上の対応を迫られた
④ロシアは親ロシア派支配地域の独立を承認する。ウクライナは軍事行動を止めろ
ウクライナへの要求
⑤ウクライナ、欧米諸国はクリミアがロシアのものだと認めろ
⑥ウクライナはNATOに加盟するな
⑦ウクライナはドネツク、ルガンスクの独立を認めろ
⑧ウクライナは非武装、中立になれ

解説

②ロシアはウクライナの主権を認めていない
③1990年2月にベイカー米国務長官がソ連・ゴルバチョフ書記長に「東に1インチも拡大しない」と発言したが拘束力のある外交文書はない。ゴルバチョフ氏も2014年10月にロシアメディアに「当時はNATO拡大問題そのものが提起されなかった」と断言。せいぜい口約束。
⑥ウクライナがNATOに入るかどうかを決めるのはウクライナとNATO。主権国家のウクライナが自国の将来をどうするかは主権の問題。ロシアが口出しできることではない。NATO加盟とEU加盟はウクライナ憲法に努力目標と記述。諦めるのは憲法改定を迫るのと同じ
⑦ドネツク、ルガンスクはロシアが軍事介入して作った未承認国家。クリミアもウクライナ憲法に従って独立の手順を踏んだわけではないのでウクライナの主権を踏み躙っている

・これらの要求を19万人を超す軍隊を国境線近くに配置して威嚇により実現しようとした。
・国連憲章第2条の4
  1. すべての加盟国は、その国際関係において、武力による威嚇又は武力の行使を、いかなる国の領土保全又は政治的独立に対するものも、また、国際連合の目的と両立しない他のいかなる方法によるものも慎まなければならない。

・これらの要求を19万人を超す軍隊を国境線近くに配置して威嚇により実現しようとした。

・ロシアは侵略直前まで「ウクライナに侵攻する意図も計画もない」=嘘だった


戦争の考え方の変遷

正戦論 正しい戦争はOK(中世ヨーロッパ)
無差別戦争間 国家は戦争する権利を持つ(18〜19世紀)
戦争の違法化 国際連盟規約、戦争放棄に関する条約(1919〜1945)
武力行使・威嚇の禁止 国連憲章・友好関係原則宣言・マニラ宣言・世界サミット成果文書等
→建前だが、戦争が禁止された状態。
 ロシアが破ったのはまさにこれ。
 建前といえど、平然と破るものが出たら「かりそめの平和」が崩壊する。

今回の戦争に名目がない

今回の戦争には名目がない。
ロシアは国境線に19万人もの大軍を張り付かせた状態でウクライナに非武装化を求めた。
この条件を出してきたのは国境線を越える直前。この時点で交渉する気はなかった。
ウクライナが飲めないことを承知で出してきた条件。
ウクライナはソ連に編入されてから数百万規模の犠牲者を出しているので、降伏して犠牲者が減るとは限らない。

ロシアのミス

住民保護やウクライナのミンスク合意違反を理由としても、力による威嚇をしたことはミス。
侵略開始はもっと大きなミスとなった。
・・・
ロシアが国際秩序を破ったことで、単なる利害やイデオロギーの問題を超えた。
そのため、中立のスウェーデンが国是を破ってウクライナに兵器供与、永世中立国のスイスがロシア制裁でEUに同調しようとしている。
・・・

ロシアの侵略を許すと国際秩序が崩壊する

力による現状変更を認めてしまうと、その一瞬は戦争を回避できてもより大きな戦争を呼び起こすことになってしまう例がミュンヘン会議。
ロシアの侵略を許すと国際秩序が崩壊する。
日本は軍事的支援はできないが、国際社会の秩序とウクライナのために経済外交で可能な限り支援すべき。

感想

 戦争禁止の建前がある中で始める戦争と、建前がない状態で始まる戦争は似ているようで全く違うという説明もありました。ロシアによる侵略が利害やイデオロギーを超えた問題が発生したというのはその通りだと思います。SWIFTからの除外を聞いたときには、ここまできつい制裁をするのかと驚いたものですが、それだけ国際秩序の根幹を揺るがす事態だったのだと理解しました。
・・・
日本の近くにも「力による現状変更の禁止」に全く触れない国がありますね。ロシアを許すとそう遠くない時期に新たな侵略行為がが始まるかもしれません。

そういう警戒感を持っておきたいと思います。
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