#348更新③ 東洋ゴム工業が認定不適合の免震装置を販売 「製品のばらつき」が過大
- 2015/03/19
- 17:00
更新③:ばらつきの過大な製品が販売されていたことについて、担当者が性能評価を技術的根拠に基づかずに変えていた「らしい」、ということを付記しておきます。

更新②:問題の免震装置が使われた民間の病院1棟(神奈川県鎌倉市)が新たに公表されましたので、更新しておきます。
これで公表されたのは、庁舎12、病院3、複合施設1の16棟になりました。
詳しくは参考URLをご確認下さい。
(参考URL)
東洋ゴム工業(株)が製造した免震材料の大臣認定不適合 に係る建築物(庁舎、病院、複合施設)について (国土交通省、3月19日)=リンク先はPDFファイル
公表された15棟の内訳は、県庁や消防、警察署などの庁舎は12棟、病院は2棟(ほか民間病院4棟は所有者の同意あれば今後公表)、複合施設1棟となっています。
詳しくは参考URLをご参照ください。
(参考URL)
東洋ゴム工業(株)が製造した免震材料の大臣認定不適合 に係る建築物(庁舎、病院、複合施設)について (国土交通省、3月17日)=リンク先はPDFファイル
役所の庁舎やタワーマンションなど高層建築に導入が広がっている免震装置のうち「高減衰ゴム系積層ゴム支承」に関して気になるニュースがあったのでメモしておきます。
今回の問題は、大阪のメーカーの東洋ゴム工業が免震装置の一部に関して①国土交通大臣認定に適合しない製品を販売していたほか、②不正な申請書を提出して大臣認定を受けていたという話です。
少し古いデータですが、2012年12月の時点で東京都内の免震構造物は871棟でした。(日本免震構造協会)①に該当する不適合品が販売されたのは東京都内では5棟だそうです。5棟は具体的には公表されていませんが、該当する場合はすでに建物側に連絡が入っているようです。
(出典:国土交通省)
報道では「性能不足」としか書かれていない場合もあって、実際に何が問題なのか、直接資料を確認してみました。
▼国土交通省資料
①の不適合の内容は、
「地震の揺れを抑える能力が大臣認定品より低い製品(等価粘性減衰定数/等価剛性の平均的な製造ばらつきが大臣認定で許容されていた±10%を超えていた製品)を販売していた」というものです。
平成27年3月13日時点で、全国で55棟の2052基が該当し、調査中ということなので、今後増える可能性もあります。東京都内の5棟の内訳はわかりませんが、全国で該当する55棟は最大で30階建ということですので、31階以上の建物では使われていないことになります。
気になる表記は2点。
ひとつは国交省から東洋ゴムへの指示で
「構造安全性の検証を踏まえ、必要なものについては免震材料の交換・改修その他必要な対策を速やかに実施し、その結果を国交省および所管の特定行政庁に報告すること」
もうひとつは注意書きで
「住宅の品質確保の促進等に関する法律に基づく住宅性能評価を受けている共同住宅等については、当該住宅性能評価の結果に影響が生じる場合もある」
と書かれていることです。
②の不正な申請書を提出して大臣認定を受けていた3件は認定が取り消されました。
▼東洋ゴム工業の資料
基本的には国土交通省と同じ内容ですが、メーカーの視点になっています。

(出典:東洋ゴム工業)=赤線加筆
更新②:問題の免震装置が使われた民間の病院1棟(神奈川県鎌倉市)が新たに公表されましたので、更新しておきます。
これで公表されたのは、庁舎12、病院3、複合施設1の16棟になりました。
詳しくは参考URLをご確認下さい。
(参考URL)
東洋ゴム工業(株)が製造した免震材料の大臣認定不適合 に係る建築物(庁舎、病院、複合施設)について (国土交通省、3月19日)=リンク先はPDFファイル
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更新①:東洋ゴム工業の問題の免震装置が使われた全国の55棟のうち、公共性が高い15棟について国土交通省が公表しましたので、一部更新しておきます。公表された15棟の内訳は、県庁や消防、警察署などの庁舎は12棟、病院は2棟(ほか民間病院4棟は所有者の同意あれば今後公表)、複合施設1棟となっています。
詳しくは参考URLをご参照ください。
(参考URL)
東洋ゴム工業(株)が製造した免震材料の大臣認定不適合 に係る建築物(庁舎、病院、複合施設)について (国土交通省、3月17日)=リンク先はPDFファイル
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役所の庁舎やタワーマンションなど高層建築に導入が広がっている免震装置のうち「高減衰ゴム系積層ゴム支承」に関して気になるニュースがあったのでメモしておきます。
この免震装置「高減衰ゴム系積層ゴム支承」は下図のように、建物の基礎の部分に用いられることが多く、地震を吸収して建物に伝わる揺れを小さくする働きがあります。
(出典:国土交通省)
今回の問題は、大阪のメーカーの東洋ゴム工業が免震装置の一部に関して①国土交通大臣認定に適合しない製品を販売していたほか、②不正な申請書を提出して大臣認定を受けていたという話です。
少し古いデータですが、2012年12月の時点で東京都内の免震構造物は871棟でした。(日本免震構造協会)①に該当する不適合品が販売されたのは東京都内では5棟だそうです。5棟は具体的には公表されていませんが、該当する場合はすでに建物側に連絡が入っているようです。
(出典:国土交通省)
報道では「性能不足」としか書かれていない場合もあって、実際に何が問題なのか、直接資料を確認してみました。
▼国土交通省資料
①の不適合の内容は、
「地震の揺れを抑える能力が大臣認定品より低い製品(等価粘性減衰定数/等価剛性の平均的な製造ばらつきが大臣認定で許容されていた±10%を超えていた製品)を販売していた」というものです。
平成27年3月13日時点で、全国で55棟の2052基が該当し、調査中ということなので、今後増える可能性もあります。東京都内の5棟の内訳はわかりませんが、全国で該当する55棟は最大で30階建ということですので、31階以上の建物では使われていないことになります。
気になる表記は2点。
ひとつは国交省から東洋ゴムへの指示で
「構造安全性の検証を踏まえ、必要なものについては免震材料の交換・改修その他必要な対策を速やかに実施し、その結果を国交省および所管の特定行政庁に報告すること」
もうひとつは注意書きで
「住宅の品質確保の促進等に関する法律に基づく住宅性能評価を受けている共同住宅等については、当該住宅性能評価の結果に影響が生じる場合もある」
と書かれていることです。
②の不正な申請書を提出して大臣認定を受けていた3件は認定が取り消されました。
▼東洋ゴム工業の資料
基本的には国土交通省と同じ内容ですが、メーカーの視点になっています。
問題の免震装置は
①大臣認定の性能評価基準に不適合なもの(55物件)
性能評価基準項目8項目のうちの1項目
「製造ばらつきの基準値」(水平バネ定数、減衰定数)が許容範囲を超えていた。
→残る7項目に問題があったとは書かれていませんでした。
→国土交通省資料にもありましたが、製品のばらつきが許容範囲を超えていたということなんですね。アップはしませんが、顧客サイドに「大臣認定に適合した誤ったグラフ」を示していたことも資料から読み取れます。
免震装置は1棟あたり数十程度は使われるのが普通だと思いますが、製品ばらつきが過大なことで、どの程度、全体としての免震性能が落ちるのかは発表資料からはわかりませんでした。設置のされ方にもよるでしょうから、個々に明示できないのは仕方がないかもしれません。
免震装置は1棟あたり数十程度は使われるのが普通だと思いますが、製品ばらつきが過大なことで、どの程度、全体としての免震性能が落ちるのかは発表資料からはわかりませんでした。設置のされ方にもよるでしょうから、個々に明示できないのは仕方がないかもしれません。
②技術的根拠のない性能評価基準で大臣認定を受けていたもの(3物件)
大臣認定の取り下げを申請し、認定は取消済
→申請にあたってデータの捏造があったということでしょうから、取下・取消は当然でしょう。
今後の対応・対策については下の表がありました。
(出典:東洋ゴム工業)=見やすさのため、原資料にあった取消対象認定番号は消去
専門知識がないので、上図の「再計算値」が何を示すのか分かりませんが、あらためて指定性能評価機関による評定を受け、製品の大臣認定を再申請をする方向を目指すようです。
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この問題、拡大しないといいのですが。さらに追加のエントリを書くことがないように願っています。
(参考URL)
当社が製造した建築用免震積層ゴムの国土交通大臣認定不適合等について(東洋ゴム株式会社)=リンク先はPDFファイル
東洋ゴム工業(株)が製造した免震材料の大臣認定不適合等について(国土交通省)=リンク先はPDFファイル
(関連エントリ)
#357 東洋ゴム工業の免震ゴム性能問題、拡大か 「55棟以外に不正な補正」疑いと国交省
#351 積層ゴム型免震装置の大臣認定について実態調査開始 国土交通省
#348更新③ 東洋ゴム工業が認定不適合の免震装置を販売 「製品のばらつき」が過大
初稿 平成27年3月17日午前3時
更新① 3月18日午前3時
更新② 3月19日午後5時
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- #357更新③ 東洋ゴム工業の免震ゴム性能問題、拡大か 「55棟以外に不正な補正」疑いと国交省 (2015/03/31)
- #351 積層ゴム型免震装置の大臣認定について実態調査開始 国土交通省 (2015/03/20)
- #348更新③ 東洋ゴム工業が認定不適合の免震装置を販売 「製品のばらつき」が過大 (2015/03/19)