#357更新③ 東洋ゴム工業の免震ゴム性能問題、拡大か 「55棟以外に不正な補正」疑いと国交省
- 2015/03/31
- 03:00
更新③ 東洋ゴム工業が「大臣認定不適合が判明した当社製免震ゴムの納入先建築物における「満たすべき安全性」の確認について、納入先の55棟全てで「震度6強~震度7程度の地震に対して倒壊する恐れがないことが確認されたとして、国土交通省に報告したと発表しました。
大臣認定不適合が判明した当社製免震ゴムの 納入先建築物における「満たすべき安全性」の確認について(東洋ゴム工業、3月30日)
東洋ゴム工業による「満たすべき安全性」(震度6強~震度7程度の地震に対して倒壊する恐れがないこと)の検証基準では、免震層の変形が100%未満、上部構造の変形が1/100以下を満たすことが求められていました。
大臣認定不適合が判明した当社製免震ゴムの 納入先建築物における「満たすべき安全性」の確認について(東洋ゴム工業、3月30日)
東洋ゴム工業による「満たすべき安全性」(震度6強~震度7程度の地震に対して倒壊する恐れがないこと)の検証基準では、免震層の変形が100%未満、上部構造の変形が1/100以下を満たすことが求められていました。
検証の結果、認定不適合な免震ゴムが納入された55棟では免震層の変形が最も大きいもので99・6%、上部構造の変形が最大のものが1/128という結果で、全棟クリアされたとしています。なお免震層の変形が90%を超えたのは55棟中4棟でした。
この結果についても、「緊急の安全性」の時と同様、国土交通省が第三者機関にチェックをしてもらい「満たすべき安全性」についての見解が示されるのではないでしょうか(ただ、免震層の変形が最大で99・6%というのはちょっと心配な数字です)。
この数字がクリアランスに対する割合ということであれば、たぶん、こんなイメージでしょうか。間違っていたらゴメンなさい。
更新②
国土交通省が免震材料の大臣認定不適合品に関する対象となる建築物のうち、あらたに民間の病院1棟(新潟市中央区)を公表しました。「満たすべき安全性の基準」(震度6強から7程度の地震での検証)をクリアしているそうです。
東洋ゴム工業(株)が製造した免震材料の大臣認定不適合 に係る建築物(庁舎、病院、複合施設)について(国土交通省、3月27日)
更新① 東洋ゴム工業が実施した「緊急の安全性」確認に対する国土交通省の見解が示されましたので、更新しておきます。結論を先に書きますと、55棟については「十分な耐震性を有しており、倒壊する恐れがないことが確認された」ということです。
東洋ゴム工業が「大臣認定不適合の免震材料が使われた55棟について、震度5強程度の地震に十分な耐震性を有する」とした報告内容について、国土交通省が第三者機関に評価を行わせたそうです。
この評価を踏まえた国土交通省の見解が示されました
①東洋ゴム工業の検証に使われた免震材料のデータに不正な操作はない
②検証結果について、一部数値の修正を要するものがあり、東洋ゴム工業に指摘したが、構造安全性の検証の各過程で不適切な処理は見当たらず、55棟について震度5強程度の地震に対して十分な耐震性を有しており倒壊する恐れがないことを確認した。
「緊急の安全性」レベルについては、国土交通省が「大丈夫」と確認しました。
国土交通省は引き続き、東洋ゴム工業に対し
①55棟の建物の所有者に震度5強程度の地震に十分な耐震性を有し、倒壊のおそれがないことを早急に説明
②震度6強~震度7程度の最大級の揺れに対して倒壊のおそれがないかどうかの検証作業をすすめ、できるだけ今月中に結果を報告すること
③55棟以外に大臣認定不適合の免震材料を用いた疑いがある建築物について、全容を解明し事実関係を報告すること
55棟に該当するマンションに住んでいたとすれば、
大きい地震が来た場合に「免震装置が大丈夫か」ということより
「この建物が大丈夫か」ということが気になると思います。
そう意味で、免震材料の今回の性能不足(製品の平均的ばらつきが許容範囲を超えていること)が、建物の揺れにどういう影響を及ぼすのかが、知りたい部分でした。
そういう部分をすっ飛ばして、震度5強レベルでの国のお墨付きは出ましたが。
* * * * *
東洋ゴム工業の免震装置をめぐる問題、拡大の様相を示してきていますので、メモしておきます。
▼国土交通省が「55棟以外の免震材料にも不正な補正の疑い」と公表(3月25日)
内容は東洋ゴム工業の調査で
「55棟の免震材料について根拠のない数値を採用したとされる担当者が、これ以外の免震材料についても不正な補正を行っていたとの疑いが把握された」
というものです。
国土交通省の東洋ゴム工業への指示は
・速やかな事実関係の調査実施、報告
・対象建築物の所有者への迅速・丁寧な説明
というものです。
▼東洋ゴム工業の発表
東洋ゴム工業もいくつか発表をしています。
①大臣認定不適合が判明した当社製免震ゴムの納入先建築物における「緊急の安全性」確認(3月25日)
「緊急の安全性」確認というのは、震度5強程度の地震に対して倒壊や崩壊しない構造であることを確認することだそうです。
調査の結果、「対象の55棟すべてについて、十分な耐震性を有していて、倒壊する恐れはないことを確認した」としています。
さらに3月中に、その上の「満たすべき安全性」、震度6強から震度7程度の地震に対して、倒壊や崩壊しない構造であるかどうかを確認、報告するとしています。
・「緊急の安全性」の確認について
すなわち、震度5強程度の地震に対して倒壊や崩壊しないことについては、公表13棟と非公表25棟の計38の建物について免震層の変形(※1)=100%未満ならOK、上部構造の変形(※2)=1/100以下ならOK、という基準で検証結果を公表しています。
また、これらの基準は倒壊に対して一定の余裕をもった判定基準としています。
検証の結果、免震層の変形が最も大きかった建物は37.8%で、上部構造の変形がもっとも大きいもの(一部合否のみ判定)で1/450という数値が示されていました。いずれもクリアされているようです。
・「満たすべき安全性」の確認について
すなわち震度6強から震度7程度の最大級の地震で検証したケースについても、公表3棟、非公表14棟の合計17棟について、免震層の変形(※4)=100%未満ならOK、上部構造の変形(※5)=1/100以下ならOK、という基準で検証結果を公表しています。
検証の結果、免震層の変形が最も大きかった建物は83.2%で、上部構造の変形についても、概算(※6)で1/100以下という水準はクリアされているようです。
ちょっとわかりにくくなってしまいました。
まとめると、「緊急の安全性」にあたる震度5強程度については38棟で検証基準をクリアし、「満たすべき安全性」にあたる震度6強~震度7程度については17棟で検証基準をクリアしたということになります。合わせて55棟です。
発表文をみると、震度6強~震度7程度の検証をしていない38棟については今月中に検証が行われるとみられます。
②問題の免震積層ゴムの全数取り替え方針を発表(3月25日)
東洋ゴム工業は合わせて、大臣認定不適合品、技術的根拠のない申請で得た大臣認定に基づいて出荷されていた製品(今回の問題となった製品)について、原則として55物件の2052基を全数取り替える方針と発表しました。
原則というのは、東洋ゴム工業の製品は使いたくないという施主がいるような場合を含めた書き方です。
③新たな不適合品が存在する疑いを発表(3月25日)
どの程度の範囲になるのか、具体的には明らかになっていません。
新たな不適合製品が存在する可能性が浮上したのはとても残念です。
(参考URL)
東洋ゴム工業(株)の免震材料についての不正の疑いの報告について(国土交通省、3月25日)
大臣認定不適合が判明した当社製免震ゴムの 納入先建築物における「緊急の安全性」確認について (東洋ゴム工業、3月25日)
当社グループが製造・納入した大臣認定不適合等の 免震積層ゴム全数取替え方針について(東洋ゴム工業、3月25日)
当社グループ製造の免震積層ゴムの新たな大臣認定不適合等の疑いについて(東洋ゴム工業、3月25日)
(参考URL)=追加
大臣認定不適合の免震材料を用いた構造物安全性の検証に関する東洋ゴム工業の報告について(国土交通省、3月26日)
(参考URL)=追加
東洋ゴム工業(株)が製造した免震材料の大臣認定不適合 に係る建築物(庁舎、病院、複合施設)について(国土交通省、3月27日)
(参考URL)=追加
大臣認定不適合が判明した当社製免震ゴムの 納入先建築物における「満たすべき安全性」の確認について(東洋ゴム工業、3月30日)
(関連エントリ)
#357 東洋ゴム工業の免震ゴム性能問題、拡大か 「55棟以外に不正な補正」疑いと国交省
#351 積層ゴム型免震装置の大臣認定について実態調査開始 国土交通省
#348更新③ 東洋ゴム工業が認定不適合の免震装置を販売 「製品のばらつき」が過大
初稿 平成27年3月25日午後5時
更新① 3月26日午後5時
更新② 3月27日午後9時
更新③ 3月31日午前3時
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