#376 新たに99棟の免震装置で不正なケース 東洋ゴム工業が国交省に報告
- 2015/04/21
- 21:00
免震ゴム支承に関する問題で動きがありましたので、まとめておきます。
東洋ゴム工業から国土交通省に「当初の55棟以外についても不正な事案があったという報告がなされた」というもので、対象は当初の高減衰ゴム系積層ゴム支承以外にも広がっています。
内訳は「必要な性能を満たしていない製品が納品された」90棟と、「製造時のデータが欠損している製品が納品された」(=性能が確認できないもの)9棟の計99棟となっています。
▼55棟以外の不正が判明(国土交通省公表)
問題のあった55棟以外に新たに調査対象となったのは154棟で、このうち99棟で「必要な性能を満たさない製品」か「製品時のデータの存在しない製品」が納品されていたことが判明しました。
具体的には、当初の55棟同様、製品個々のばらつき、又は建築物ごとの平均値のばらつきが認定で許されている基準値を超えた製品ということになります。
①「必要な性能を満たさない製品が納品」90棟/678基
所在地(棟数):愛知13、静岡12、東京11、高知9、宮城7、神奈川/大阪6、兵庫5など。
用途(棟数):共同住宅49、病院9、ホテル/事務所5、私立学校4、データセンター/個人住宅3など。
物件規模:15階建て以上が22棟程度(最大で30階建)
※大阪市中央公会堂も含まれていました
②「①以外に製造時のデータが欠損している製品が納品」9棟/177基
所在地(棟数):神奈川4、東京3、岩手/埼玉1
用途(棟数):共同住宅3、庁舎/個人住宅2、事務所/データセンター1
物件規模:最大15階建(1棟)
国土交通省は154棟の所有者に調査結果を早急に報告、問題のあった99棟については、4月中に構造安全性を検証し、それを踏まえて必要な場合は免震材料の交換などを行うことや、国土交通省などに対する報告を指示しました。
(その他)
国土交通省が東洋ゴム工業の免震ゴム支承についての問題を受けて、東洋ゴム以外の全社(26社)に対する調査を実施しましたが、平成27年4月20日までに全社が回答したそうです。ただ、内容については今後詳しく調べるということになっていて、現時点では詳しい内容は明らかになっていません。
▼東洋ゴム工業も公表
基本的には国土交通省の発表と同じ内容ですが、建物の安全性の確認方法や、対応方針が公表されました。
当初製造時の性能のばらつきが問題となった「高減衰ゴム系積層ゴム支承」のほか「天然ゴム系積層ゴム支承」「弾性すべり支承」「戸建住宅用高減衰ゴム系積層ゴム支承」が大臣認定に適合しているかどうかを調査した結果が公表されました。
①高減衰ゴム系積層ゴム支承(注:2製品の合計値、中の人が計算)
販売製品基数 2599/不適合製品基数563/判定不可製品基数136
②天然ゴム系積層ゴム支承
販売製品基数 854/不適合製品基数43/判定不可製品基数0
③弾性すべり支承
販売製品基数 154/不適合製品基数72/判定不可製品基数37
④戸建住宅用高減衰ゴム系積層ゴム支承
販売製品基数 66/不適合製品基数0/判定不可製品基数4
特にひどかったのは7割超が「不適合」か「判定不可」だった弾性すべり支承でした。
(交換方針と交換方法)
弾性すべり支承について
不適合製品全数について、求められる性能を満たす正規品に交換する
その他(高減衰ゴム系積層ゴム支承、天然ゴム系、戸建住宅用)
交換にあたっては物件ごとに設計者の構造安全上の確認を実施
(調査報告)
追加調査を継続中。経緯や原因、再発防止策を5月上旬を目途に公表
1人が長期間担当していたことが原因だと思っていましたが、複数のメディア報道で、後任の担当者を含め4人が不正に関わっていた可能性が示されたようですので、この問題、もうしばらくエントリを続けようと思います。
(参考URL)=国土交通省
東洋ゴム工業(株)製の免震材料に係る当初の 55 棟以外の不正事案について(4月21日)
積層ゴム支承に係る構造方法等の認定に関する実態調査の状況について (4月21日)
(参考URL)=東洋ゴム工業
当社グループ製免震ゴムにおける新たに判明した建築物に関する大臣認定不適合等の調査結果について (4月21日)
(関連エントリ)
#357更新③ 東洋ゴム工業の免震ゴム性能問題、拡大か 「55棟以外に不正な補正」疑いと国交省
#351 積層ゴム型免震装置の大臣認定について実態調査開始 国土交通省
#348更新③ 東洋ゴム工業が認定不適合の免震装置を販売 「製品のばらつき」が過大
東洋ゴム工業から国土交通省に「当初の55棟以外についても不正な事案があったという報告がなされた」というもので、対象は当初の高減衰ゴム系積層ゴム支承以外にも広がっています。
内訳は「必要な性能を満たしていない製品が納品された」90棟と、「製造時のデータが欠損している製品が納品された」(=性能が確認できないもの)9棟の計99棟となっています。
▼55棟以外の不正が判明(国土交通省公表)
問題のあった55棟以外に新たに調査対象となったのは154棟で、このうち99棟で「必要な性能を満たさない製品」か「製品時のデータの存在しない製品」が納品されていたことが判明しました。
具体的には、当初の55棟同様、製品個々のばらつき、又は建築物ごとの平均値のばらつきが認定で許されている基準値を超えた製品ということになります。
①「必要な性能を満たさない製品が納品」90棟/678基
所在地(棟数):愛知13、静岡12、東京11、高知9、宮城7、神奈川/大阪6、兵庫5など。
用途(棟数):共同住宅49、病院9、ホテル/事務所5、私立学校4、データセンター/個人住宅3など。
物件規模:15階建て以上が22棟程度(最大で30階建)
※大阪市中央公会堂も含まれていました
②「①以外に製造時のデータが欠損している製品が納品」9棟/177基
所在地(棟数):神奈川4、東京3、岩手/埼玉1
用途(棟数):共同住宅3、庁舎/個人住宅2、事務所/データセンター1
物件規模:最大15階建(1棟)
国土交通省は154棟の所有者に調査結果を早急に報告、問題のあった99棟については、4月中に構造安全性を検証し、それを踏まえて必要な場合は免震材料の交換などを行うことや、国土交通省などに対する報告を指示しました。
(その他)
国土交通省が東洋ゴム工業の免震ゴム支承についての問題を受けて、東洋ゴム以外の全社(26社)に対する調査を実施しましたが、平成27年4月20日までに全社が回答したそうです。ただ、内容については今後詳しく調べるということになっていて、現時点では詳しい内容は明らかになっていません。
▼東洋ゴム工業も公表
基本的には国土交通省の発表と同じ内容ですが、建物の安全性の確認方法や、対応方針が公表されました。
当初製造時の性能のばらつきが問題となった「高減衰ゴム系積層ゴム支承」のほか「天然ゴム系積層ゴム支承」「弾性すべり支承」「戸建住宅用高減衰ゴム系積層ゴム支承」が大臣認定に適合しているかどうかを調査した結果が公表されました。
①高減衰ゴム系積層ゴム支承(注:2製品の合計値、中の人が計算)
販売製品基数 2599/不適合製品基数563/判定不可製品基数136
②天然ゴム系積層ゴム支承
販売製品基数 854/不適合製品基数43/判定不可製品基数0
③弾性すべり支承
販売製品基数 154/不適合製品基数72/判定不可製品基数37
④戸建住宅用高減衰ゴム系積層ゴム支承
販売製品基数 66/不適合製品基数0/判定不可製品基数4
特にひどかったのは7割超が「不適合」か「判定不可」だった弾性すべり支承でした。
(交換方針と交換方法)
弾性すべり支承について
不適合製品全数について、求められる性能を満たす正規品に交換する
その他(高減衰ゴム系積層ゴム支承、天然ゴム系、戸建住宅用)
交換にあたっては物件ごとに設計者の構造安全上の確認を実施
(調査報告)
追加調査を継続中。経緯や原因、再発防止策を5月上旬を目途に公表
1人が長期間担当していたことが原因だと思っていましたが、複数のメディア報道で、後任の担当者を含め4人が不正に関わっていた可能性が示されたようですので、この問題、もうしばらくエントリを続けようと思います。
(参考URL)=国土交通省
東洋ゴム工業(株)製の免震材料に係る当初の 55 棟以外の不正事案について(4月21日)
積層ゴム支承に係る構造方法等の認定に関する実態調査の状況について (4月21日)
(参考URL)=東洋ゴム工業
当社グループ製免震ゴムにおける新たに判明した建築物に関する大臣認定不適合等の調査結果について (4月21日)
(関連エントリ)
#357更新③ 東洋ゴム工業の免震ゴム性能問題、拡大か 「55棟以外に不正な補正」疑いと国交省
#351 積層ゴム型免震装置の大臣認定について実態調査開始 国土交通省
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