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#522 東京湾内湾の津波を考える① 結論「東京湾の防潮堤を津波が上回ることはない」

 東京湾に近い中央区に暮らすと、やはり気になるのは自然災害の中でも地震と津波ではないでしょうか。

 断片的な情報ばかり見ていると「最大の揺れと最大の津波が同時に発生」のような、100年に1度の事象と1000年に1度の事象が同時発生という極端な想像をしがち
です。

 正しく怖がるために適当な資料があればメモしておきたいと思っていたところ、東日本大震災の後に開かれた東京都議会でのいわゆる「勉強会」で、東京湾で起こりうる津波について比較的分かりやすい説明を見つけましたのでメモしておきます。

東京湾内湾(特に東京都)にかなり特化した説明であることが特徴です。
中の人の考えではありません。専門家の話の要約です。

やや長くなりますので、分割します。


▼地震とは
 一般には地震というのは地面が揺れること。専門家、地震学では、地面の揺れのことは地震動、その大きさを震度。地震動をもたらす原因となる地学現象のことを地震。この意味での地震の規模は、マグニチュード。

 日本周辺は、太平洋プレートとフィリピン海プレートとが日本列島に衝突して潜り込む沈み込み帯。プレート境界では、沈み込むプレートがその上にある陸地を引きずり込み、変形することによってひずみが蓄積。プレート同士の速さ、相対速度、速さは年間数㎝と、つめが伸びるほどの速さ。
 100年間続くと数mにもなり、変形の限界に達してもとに戻ろうとしてはね返る。地下の岩石がある面を境にずれ動くことを断層運動と呼び、その際の衝撃が波となって伝わっていくのが地震波。



(出典:防災科学研究所)




▼津波とは
 地下で断層運動が発生し、その上の地表面、あるいは海底には地殻変動が発生。海底の広い範囲でこのような地殻変動が発生するとその変動がそのまま海面に生じる。
 これが津波の発生源。東日本大震災を起こした東北地方太平洋沖地震の場合、海底が5m以上隆起、上下に動いた。

 プレートが沈み込む日本海溝や相模トラフは水深が数千m程度。
 巨大地震の地殻変動が及ぶ領域は、数十キロから数百キロのスケールで発生。
 海底の変動と水面の変動は同じ。

 水深が大きいほど津波は速く伝わる。
 水深4000mの深海では時速720kmとジェット機並み。
 水深200mでは時速160kmと特急列車程度、
 東京湾のように水深が20m程度、時速50km程度、自動車程度の速さ。

 津波の高さは、沿岸に近づくにつれて大きくなる。海底が徐々に浅くなる場合には、水深が3000mから10mまで変わる間に、津波の高さは4倍に。
 通常の波というのは10秒程度押したり引いたり。津波は数分から数十分間も海面が上昇し続ける洪水のイメージ



(出典:気象庁)



▼東京湾での津波をシミュレーション=「東京湾の津波を考える②」以降で触れます

 津波の伝わる様子は、コンピューターシミュレーションを実施。
 津波は海面から海底までが同時に動くので深さ方向には一つの格子でよいが、水平方向にはなるべく細かい格子がいい。
 通常、深海では数百mから数キロmの格子、海岸近くでは数十m程度の格子、
 東京湾の沿岸では10mの格子を用いてシミュレーション。


 津波の高さは、海岸付近の地形によっても大きく変化。
 一般に津波が大きくなるのは、湾の奥や岬の先端など。V字型の湾の奥では、湾の海岸で反射を繰り返した波が集中する。湾に入ってくる津波の周期がその湾の固有の周期と一致する場合には、共鳴現象によって大きくなる。
 東京湾はV字ではなく、どちらかというとU字型。エネルギーが1カ所に集中するということはない。


▼津波の高さの測り方(TPとAP)
 津波の高さは、津波が来なかったときの潮位、海面から測る
 満潮時に津波が来ても、あるいは干潮のときに津波が来ても高さは同じ
 東京湾の満潮時と干潮時、海面の高さは約2mの差。

 防潮堤などの高さは、陸地に固定した基準面からはかる。

 東京湾では東京ペールと、略称TPと呼ばれる東京湾平均海水面というものがよく用いられる。荒川ペール、略称APと呼ばれる荒川工事基準面がある。

 東京湾平均海水面TPというのは、満潮時の海面の高さと干潮時の海面の高さの平均。通常、陸上の標高、海抜TPからはかる。
 荒川工事基準面APはこれ以上は海水が低くならないという最低の海面。海図などの水深は、東京湾の場合、APなどの干潮時の最低潮位面から。
 さもないと船舶などが干潮時に座礁してしまうおそれ。


 津波で注目は、荒川沿いの低地、墨田区、江東区、葛飾区、江戸川区などいわゆる0m地帯。0m地帯というのは、TP=平均海水面より低いところを指す。
 TPマイナス1mより低い=干潮時の海面よりも低い堤防がなければ常に浸水してしまう地域。
 TP+1mより低い=満潮時の海水面よりも低い堤防がなければ毎日少なくとも2度は、津波が来なくても満潮時には浸水する地域。



▼結論=「東京湾の防潮堤を津波が上回ることはない」

 東京湾では防潮堤の高さというのは、TPからはかって3・5m以上。
 高潮自体の高さは、過去の記録から2・5m程度と想定、これに、満潮時の水面を加えることによって、TP+3・5m以上というのが東京湾における防潮堤の高さ。

 東京湾ではこのような防潮堤が築かれており、津波の被害想定の結果は、結論から言うと津波がこれ(防潮堤)を上回ることがない。
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どら

Author:どら
①どらったら!(平成26年〜28年秋)
②dorattara(~29年11月)
の続き。

中央区とその周辺に関するメモ。

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