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#523 東京湾内湾の津波を考える② 湾内の水が極少で、湾外から津波エネルギーが入りにくい

 「東京湾内湾の津波を考える」の2回目です。

 なぜ東京湾の防潮堤を津波が上回らないと考えられているのか
に触れていきます。

 これは東京都議会の勉強会での話の中の人による要約で「勉強会」の性質から、東京都臨海部が対象範囲と考えられます。

中の人の考えではありません。専門家の話の要約です。


▼東京湾の特徴

・東京湾の特徴①=極めて水が少ない(琵琶湖の半分ほど)

 通常は、わずか6キロほどの浦賀水道のラインよりも北側を狭義の東京湾とする。
 狭義の東京湾というのは、水深が平均17mと非常に浅い海、面積約900㎢、これは琵琶湖よりも広い面積、水の容積は約16立方キロ。
 琵琶湖の場合は、面積は狭義の東京湾の約2/3、670㎢程度、平均水深が41m、水の容積は28立方キロ。
 東京湾の中にある水の量というのは、面積がずっと小さな琵琶湖の水の量の半分ぐらいしかない。狭義の東京湾というのは、非常に浅い海で水の量が非常に少ない。


・東京湾の特徴②=入り口に急な崖があり、津波エネルギーは多くが反射される

 海底地形図は観音崎のあたりで水深が急に浅くなっている。相模湾から入ってきた水は相模湾の方から見ると、観音崎のところまで来ると水深が急に浅くなる。
 狭義の東京湾の中では17m程度。水深が急に小さくなると、津波が入ってきた場合はそのエネルギーは大部分が反射。その湾の中には入っていかない、入りにくい。
 東京湾のように入り口に急ながけがある場合には、大部分のエネルギーは、そもそもここで反射されてしまうので、中に入っていきにくい

 外房や浦賀水道に比べ、東京湾の中、特に一番奥の東京都の沿岸では、津波の高さは低くなっている。津波のエネルギーが浦賀水道付近で反射し、東京湾の中には入り込めなかったというのが原因。



 
(「勉強会」の要約から中の人が作成)



▼過去の地震・津波から東京湾の津波を想定する

 昨年(2011年)の東日本大震災の際、東京湾内で機械的に観測された津波の高さは、90㎝から1・5m程度。晴海の巨大津波計では最大1・5mの津波を記録。これは通常の潮位から測定したもの。


 東京湾に最も大きな津波をもたらす原因となる地震は、関東地震と呼ばれるタイプ
 三浦半島から相模湾内に震源を持つ地震。フィリピン海プレートと陸地の境界面で繰り返し発生するプレート間の巨大地震

▽大正関東地震の例
 一番最近は1923年の関東大震災の原因となった地震、大正関東地震。三浦半島や房総半島は1・5m程度隆起。丹沢周辺の山地では1m近く沈降した。相模湾の熱海や伊東では津波が襲い、その高さは10mを超える。鎌倉でも津波による被害が発生。
 関東大震災による死者の数は約10万名とされ、その9割近くは火事による焼死者。一方で、津波による死者も約300名程度あった。東京湾の中における津波の高さというのは数十㎝程度。
 大正関東地震のときに東京湾で検潮所で機械的に記録されたもので芝浦の検潮所では4尺程度=1・2m程度の潮位変化の上に、2尺=60㎝程度の津波が記録。
 上の隅田川沿いの呉服橋、白鬚橋などでも津波が記録されており、これは満潮時と干潮時の潮位差を超えるものではなかった。


▽元禄関東地震の例
 大正関東地震の220年前、江戸時代中期の1703年、旧暦で元禄16年にも元禄関東地震。東京湾内での津波は2m程度。古文書に基づくもので、それほど正確な数字ではない。




(再掲)


 政府の地震調査研究推進本部の評価では、関東地震を大正型と元禄型とに分類し、これらの地震の繰り返し間隔をそれぞれ、大正型が200~400年、元禄型が2300年と推定


 大正型の関東地震は、200年から400年の繰り返し間隔で発生し、最後に発生したのが1923年、現在は、それから88年。これよりやや規模の大きい元禄型の関東地震は、約2300年間隔で繰り返して発生し、最後に発生したのが1703年で、308年経過した。

 地震のマグニチュードは大正型がマグニチュード7・9、元禄型は8・1。

 平均的な発生間隔と最後の地震からの経過時間がわかると、将来の地震の発生確率を計算することができる。

 今後30年間の発生確率は、大正型関東地震は、ほぼ0から2%、元禄型の関東地震は、ほぼ0%。今後50年間では、大正型は0~7%、元禄型は、ほぼ0%。




▼東京都の新たな地震被害想定(平成24年4月)

 津波に関する部分について。直下型地震の東京湾北部地震、関東地震のような海溝型地震立川断層などの活断層で発生する地震を検討。


 過去に東京湾で最も大きな津波をもたらしたものとして元禄関東地震を想定
 東京湾北部地震、いわゆる首都直下地震でも津波の計算を実施。
 立川断層の地震は陸上で発生するため、津波を起こすということはない


 東京湾では満潮時には海面の高さがTP+1mになり、これに津波の高さを加え、地殻変動も考慮した。

 ここで想定されている津波の高さというのは、満潮と重なった場合の津波の高さ。干潮時の津波の高さというのは、これから約2m低くなる。水門が閉鎖された場合と開放された場合で津波シミュレーション。




▽元禄関東地震の想定津波(最大TP+2・6m)

 元禄関東地震の津波の高さは、最大TP+2・6mで、東京湾に津波が到達する時間は、約30㎝の津波第一波が到着するまでには、地震から40分。TP+2・6mという津波の最大波が来るまでには、地震の発生から約2時間。

 気象庁では、東日本大震災のときのように、地震から約3分程度で津波警報を出す。
 津波警報が出てから津波が到達するまでの間に十分な時間があるので、この間に避難、あるいは水門閉鎖などを行う時間的な余裕がある。

 このため水門を閉鎖したという条件が現実的だが、地震動による影響など何らかの理由で水門が閉まらなかった場合についても、津波のシミュレーションで高さを計算。

 水門が閉鎖された場合の浸水域というのは約4・8㎢で、主に堤外河川敷、東京湾に面した堤外の領域、護岸の外の領域など。
 水門が開放された場合には、水門が閉まらなかった場合には、さらに水門からあふれた浸水域というのが加わって、その面積は約7・9㎢。

 津波のシミュレーションによって、津波が荒川や隅田川などを遡上するという要素も計算。計算のメッシュサイズが10mで、それより大きいスケールにおいて河川を遡上する津波というのも考慮。



▽東京湾北部地震の想定津波(最大TP+1・9m)

 元禄関東地震のほか、東京湾北部地震、マグニチュード7・3の地震について計算。

 東京湾北部地震の場合には、東京湾岸は5㎝から30㎝程度隆起することが期待。
 これを考慮すると津波の高さは最大90㎝程度。これに満潮時の1mを加え最大の津波の高さはTP+1・9m。

 津波の高さがTP+1・9mとしたが、満潮時の高さが1mということを考えると、半分以上は津波でなくて、潮の満ち干の影響。


 * * * * *

 「東京湾北部地震で想定される津波の半分以上は潮の満ち干の影響」というのはイメージしやすい表現だと思います。
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