#581 運河直下の駅配置は困難、閉鎖水域の扱いが焦点 都心部・臨海地域地下鉄構想予測③
- 2016/01/26
- 03:00
都心部・臨海地域地下鉄構想予測の3回目は、地下鉄駅設置の特徴と中央区島部の特殊事情によるルートの制限を考えてみました。
(関連エントリ)
#542 都心部・臨海地域地下鉄構想を予測①
#575 都心部・臨海地域地下鉄構想を予測②
#581 都心部・臨海地域地下鉄構想予測③
#591 都心部・臨海地域地下鉄構想予測④
#599 都心部・臨海地域地下鉄構想予測⑤
#609 都心部・臨海地域地下鉄構想予測⑥
▼地下鉄駅は出発時に下り到着時に登る=隅田川・晴海運河直下に駅は建設しない
これは都営地下鉄大江戸線の汐留から月島までの断面図になります。
赤の太線部分が地下鉄が作られる空間です。地下深いところを通る大江戸線は、だいたい似たり寄ったりです。ルート上で一番高い場所が駅で、基本的には駅から下りを加速して、登りで減速する「省エネ」な作りになっていることがわかります。
地下鉄建設・維持は地下水との戦いですから、駅を坂の上に配置するのは、地下水が大量に漏れたような緊急時に駅への被害を最小限に食い止めて早期の復旧につなげる狙いもあるようです。
したがって河川直下や、運河直下には基本的に駅は配置されないと考えていいのではないでしょうか。
※この図からは大雑把なホームの深さも読み取れます。
B2ホームは地下15m程度(大江戸線の月島駅・勝どき駅・築地市場駅、汐留駅)
B3ホームは地下20m程度(有楽町線月島駅)ですから、
B4ホームは地下25m、B5ホームは地下30m程度になると予測できます。
▼中央区島部の特殊事情
上の図をよく見ると、月島~勝どき間では、運河を通過するのに運河などないかのように、駅間に坂の頂上が来ています。なぜでしょうか。
中の人が推測したのは、中央区島部の運河の「特殊事情」です。中央区島部の運河は水門で仕切って「閉鎖水域」とすることが可能なので、運河直下で地下鉄トンネルの天井が破れた場合でも、水門を閉め切って、運河の水量を減らすという対策が容易と思われます。
中の人が確認した運河直下の地下鉄駅は押上駅(半蔵門線)が唯一でした。ここもいわゆる江東区東部の「水位低下整備河川」にあたる部分で閘門などで区切られた「閉鎖水域」にあたります。
(中の人作成)
それを踏まえて中央区構想での以下の表記、
これは、下に示す赤枠内の閉鎖水域部分の朝潮運河をまたいだ施設配置の可能性を示唆していると読めなくもありません。
ただ今回の予測では駅施設ではなく、出入り口の連絡通路までと考え、朝潮運河直下には駅配置をしないことにします。
▼傾斜区間に駅を作るのは困難=隅田川・晴海運河からは離隔距離が必要
中央区臨海部では駅と駅の間には谷を作るケースが目立ちます。また、隅田川と晴海運河に近い部分は、地下鉄トンネルに傾斜をつけざるをえません。本エントリ冒頭の図を見ても勾配のある区間に駅を配置することは難しいと思われますので、駅配置絞り込みの重要な条件になります。
中央区島部に北西~南東方向に駅を設置する想定にあたって、幾つかの仮定が必要になります。
(仮定)
①築地~汐留間を参考に、水害への安全面からの駅と駅の間に2フロア分、10m程度の「谷」ができれば、その先の勾配のない区間に駅配置可能とします。
②念のため、朝潮運河直下には駅を配置しないこととします。
③地下鉄のルートの勾配は最大35パーミルとします。2フロア10mの高低差に必要なルートの長さは約285mとなります。
④大江戸線のケースに合わせて、構想線の立ち上がりは隅田川の左岸にします。左岸から285mは勾配を立ち上がる区間とします。晴海運河の場合も同様に、右岸から285mを立ち上がり区間とします。
隅田川と晴海運河との距離を参考に上のような条件で中央区島部の地下鉄駅配置可能なエリアを絞り込むと、駅配置が困難なエリアは緑色のエリアになります。
①隅田川と晴海運河の直下には駅を配置するのは困難。
②朝潮運河の朝潮水門東側の部分は、水門による閉鎖可能で特殊性がある。
③隅田川と晴海運河の近くは坂道区間になるため、駅配置は困難。
というところでしょうか。
仮定に根拠は一切ありませんので、ご注意ください。
続きます。
(関連エントリ)
#542 都心部・臨海地域地下鉄構想を予測①
#575 都心部・臨海地域地下鉄構想を予測②
#581 都心部・臨海地域地下鉄構想予測③
#591 都心部・臨海地域地下鉄構想予測④
#599 都心部・臨海地域地下鉄構想予測⑤
#609 都心部・臨海地域地下鉄構想予測⑥
(関連エントリ)
#542 都心部・臨海地域地下鉄構想を予測①
#575 都心部・臨海地域地下鉄構想を予測②
#581 都心部・臨海地域地下鉄構想予測③
#591 都心部・臨海地域地下鉄構想予測④
#599 都心部・臨海地域地下鉄構想予測⑤
#609 都心部・臨海地域地下鉄構想予測⑥
▼地下鉄駅は出発時に下り到着時に登る=隅田川・晴海運河直下に駅は建設しない
これは都営地下鉄大江戸線の汐留から月島までの断面図になります。
(出典:東京都地質業協会、原資料は東京都交通局)=一部加筆
赤の太線部分が地下鉄が作られる空間です。地下深いところを通る大江戸線は、だいたい似たり寄ったりです。ルート上で一番高い場所が駅で、基本的には駅から下りを加速して、登りで減速する「省エネ」な作りになっていることがわかります。
地下鉄建設・維持は地下水との戦いですから、駅を坂の上に配置するのは、地下水が大量に漏れたような緊急時に駅への被害を最小限に食い止めて早期の復旧につなげる狙いもあるようです。
したがって河川直下や、運河直下には基本的に駅は配置されないと考えていいのではないでしょうか。
※この図からは大雑把なホームの深さも読み取れます。
B2ホームは地下15m程度(大江戸線の月島駅・勝どき駅・築地市場駅、汐留駅)
B3ホームは地下20m程度(有楽町線月島駅)ですから、
B4ホームは地下25m、B5ホームは地下30m程度になると予測できます。
▼中央区島部の特殊事情
上の図をよく見ると、月島~勝どき間では、運河を通過するのに運河などないかのように、駅間に坂の頂上が来ています。なぜでしょうか。
中の人が推測したのは、中央区島部の運河の「特殊事情」です。中央区島部の運河は水門で仕切って「閉鎖水域」とすることが可能なので、運河直下で地下鉄トンネルの天井が破れた場合でも、水門を閉め切って、運河の水量を減らすという対策が容易と思われます。
中の人が確認した運河直下の地下鉄駅は押上駅(半蔵門線)が唯一でした。ここもいわゆる江東区東部の「水位低下整備河川」にあたる部分で閘門などで区切られた「閉鎖水域」にあたります。

(中の人作成)
それを踏まえて中央区構想での以下の表記、
(出典:中央区委員会報告書「概要版」)
これは、下に示す赤枠内の閉鎖水域部分の朝潮運河をまたいだ施設配置の可能性を示唆していると読めなくもありません。
ただ今回の予測では駅施設ではなく、出入り口の連絡通路までと考え、朝潮運河直下には駅配置をしないことにします。
▼傾斜区間に駅を作るのは困難=隅田川・晴海運河からは離隔距離が必要
中央区臨海部では駅と駅の間には谷を作るケースが目立ちます。また、隅田川と晴海運河に近い部分は、地下鉄トンネルに傾斜をつけざるをえません。本エントリ冒頭の図を見ても勾配のある区間に駅を配置することは難しいと思われますので、駅配置絞り込みの重要な条件になります。
中央区島部に北西~南東方向に駅を設置する想定にあたって、幾つかの仮定が必要になります。
(仮定)
①築地~汐留間を参考に、水害への安全面からの駅と駅の間に2フロア分、10m程度の「谷」ができれば、その先の勾配のない区間に駅配置可能とします。
②念のため、朝潮運河直下には駅を配置しないこととします。
③地下鉄のルートの勾配は最大35パーミルとします。2フロア10mの高低差に必要なルートの長さは約285mとなります。
④大江戸線のケースに合わせて、構想線の立ち上がりは隅田川の左岸にします。左岸から285mは勾配を立ち上がる区間とします。晴海運河の場合も同様に、右岸から285mを立ち上がり区間とします。
隅田川と晴海運河との距離を参考に上のような条件で中央区島部の地下鉄駅配置可能なエリアを絞り込むと、駅配置が困難なエリアは緑色のエリアになります。
(中の人作成)
* * * * *
3回めのポイントは①隅田川と晴海運河の直下には駅を配置するのは困難。
②朝潮運河の朝潮水門東側の部分は、水門による閉鎖可能で特殊性がある。
③隅田川と晴海運河の近くは坂道区間になるため、駅配置は困難。
というところでしょうか。
仮定に根拠は一切ありませんので、ご注意ください。
続きます。
(関連エントリ)
#542 都心部・臨海地域地下鉄構想を予測①
#575 都心部・臨海地域地下鉄構想を予測②
#581 都心部・臨海地域地下鉄構想予測③
#591 都心部・臨海地域地下鉄構想予測④
#599 都心部・臨海地域地下鉄構想予測⑤
#609 都心部・臨海地域地下鉄構想予測⑥
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