#689更新① 豊海町の冷蔵倉庫群は縮小方向か
- 2016/04/18
- 10:00
「南部流通工業団地」の4つの更新案の中の1つに示されたもので、豊海町の冷蔵倉庫を含めた近隣の同じ種類の施設をどこか広い土地にまとめてはどうかという内容です。
(出典:国土交通省)
ビジョンの審議の中では、移転先の土地の確保が困難など数多くの課題が指摘されていました。また、流通業務団地内では数百億円規模の更新工事がすでにいくつか始まっているようです。
(出典;東京冷蔵団地)
▼南部流通業務団地の抱える課題と対策案
「国際競争力強化のための物流施設整備に関するビジョン」の中で南部流通業務団地の抱える課題が4つ示されました。
①施設・機能の老朽化
②施設の高度利用がされていない
③需要への対応
④立地特性などの有効活用
そして、これらの課題を解決する上で4案が示されています。
(出典:国土交通省)
案1は南部工業団地の各敷地内で空き地を作って、施設をローリング式に更新する方法。南部流通業務団地内で完結しますので、豊海冷蔵倉庫は関係ありません。
(出典:国土交通省)
案2は簡単な説明が難しいので、下記参考URLに示した資料をごらんください。南部流通業務団地内で完結しますので、豊海冷蔵倉庫は関係ありません、
案3は南部流通業務団地の外に用地を用意して、一部または全部を移転させるもので、これも南部流通業務団地のみが対象ですので、豊海冷蔵倉庫は関係ありません、
関係があるのは案4です。
南部流通業務団地のほか、豊海水産埠頭冷蔵施設や東京水産ターミナルなどを含めて、南部流通業務団地の外に集約立地するという案です。この場合、豊海町の冷蔵倉庫群も合わせて移転することが考えられるとしています。
(出典;国交省)
そして、案3と案4の移転先候補としては「京浜島」「城南島」「中央防波堤外側埋立地」が示されています。
(出典:国土交通省)
(出典:国土交通省)
豊洲町の冷蔵倉庫群が絡む「案4」については、既存の流通システムを崩すことなく、集約立地させて施設更新が可能な反面、東京臨海部に必要な広さの用地を確保することが難しいというデメリットがあるとしています。
このほか、臨海部ではすでに物流のネットワークが構築されていると考えられるため、流通業務団地内での更新を考えたほうが実現可能性が高いという指摘もされています。
(出典:国土交通省)
どうやら、豊海町の冷蔵倉庫群が単独でまとまってどこかに動くという案ではなく、南部流通業務団地の4つある更新案の1つとして、既存の施設と集約立地する案の対象として検討されているということのようです。
▼南部流通業務団地の更新の現状
ところで、南部流通業務団地の更新について、現状はどうなっているのでしょうか。この資料がオープンになった平成21年からすでに7年がすぎましたが、課題解決に向けた老朽施設の建て替えも始まっているようです。
・東京冷蔵団地(平成30年2月竣工予定、13万6千㎡)
南部流通業務団地更新に関係して、豊海町の冷蔵倉庫群を含む同種の施設の集中立地(移転)が実現するかどうかは、すでに団地内の一部で数百億円規模の大規模な更新がスタートしていることや、課題に対する指摘などを見ると、次第に難しくなっている気がします。
(追記)東京都も中央区も冷蔵倉庫群の移転については議論した形跡がないようです。エントリ後、豊海町の漁港区エリアは中央区のまちづくりガイドラインから外れました(平成28年5月)。このエリアでは倉庫の改築(平成30年度竣工)も進められ、漁港区指定の解除が相当長期間ないことが伺えます。漁港区指定がある限り歯抜けでの再開発は不可能ですから、当面はこのままでしょうね。
30年後は知りませんけど。
(参考URL)
国際競争力強化のための物流施設整備に関するビジョン (国土交通省、平成21年3月)
東京団地冷蔵 ( 株 ) 再整備事業 計画 に基づ く 建築工事を開始 (平成28年4月)