#911更新② 潮位はピークアウト 台風9号上陸
- 2016/08/22
- 18:00
更新② 東京湾の潮位はピーク時、通常潮位より50センチほど高くなっていましたが、元に戻りつつあります。
(出典:気象庁)
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#911更新① 台風9号、館山市付近に上陸、厳重警戒必要 東京湾高潮氾濫の「最悪コース」それる
台風9号は22日午後0時半ごろ、千葉県館山市付近に上陸したようです。高潮被害の面からの最悪のコースからはそれたようです。
ただ、台風が直撃しているのは事実なので、遠ざかるまでは厳重警戒が必要です。
(出典:気象庁)
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#911 台風9号は東京湾岸にとって最悪に近いコース 東京湾高潮氾濫の被害想定より
高潮被害を起こすほどの勢力はなさそうですが、強い台風9号は高潮被害の面からみると最悪に近いコースを進んでいるようです。
東京都港湾局はホームページで次のような説明をしています。
・・・東京は、東京湾の最奥部に位置しています。南西側に外洋との出入口があり、また水深も比較的浅いために、高潮の被害を極めて受けやすい地形になっています。(東京都港湾局)
津波を弱めるのに有効な東京湾の浅さが、高潮に対しては弱点になっていて、南東の風が吹き付けるのが最悪のようです。
(出典:東京都港湾局)
▼高潮被害の面から東京湾臨海部にとって最悪のコースは?
全体として最悪の被害が想定される台風のコースはこの図に示されたルートでした。
(出典:国土交通省)
東京湾の西側をかすめるように台風の中心が通過すると、都心最接近時に東京の湾岸エリアにもっとも高潮を起こしやすい状況になるようです。
▼想定された6つのシナリオ(A~F)
国土交通省港湾局が6つのシナリオで高潮による氾濫時の浸水/被害想定をまとめた資料がありました。
氾濫想定の前提
東京湾の海岸保全施設の整備目標は100〜200年に1回来襲が想定される伊勢湾台風クラスの台風に対応することですが、資料では地球温暖化の影響で台風が強大化した200〜1000年に1回の室戸台風クラスの台風が来た場合も想定しています。
※参考 6つのシナリオ
・朔望平均満潮位のケース
シナリオA 伊勢湾台風クラス 海岸保全施設が正常に機能
シナリオB 伊勢湾台風クラス 耐震化対策未施工水門は開放
シナリオC 室戸台風クラス 海岸保全施設が正常に機能
・地球温暖化で60センチ海面水位が上昇したケース
シナリオD 伊勢湾台風クラス 海岸保全施設が正常に機能
シナリオE 室戸台風クラス 海岸保全施設が正常に機能
シナリオF 室戸台風クラス 水門すべて開放、ゼロメートル地帯の堤防が破堤
(出典:内閣府)
▼浸水の分布は
シナリオAとFについて浸水分布を見てみます。
①シナリオA 伊勢湾台風クラス(940ヘクトパスカル)、海岸設備が正常に機能
(出典:国土交通省)
青線は防潮堤です。伊勢湾台風クラスでも施設がきちんと稼働すれば、防潮堤内部の浸水はほとんどなさそうです。
中央区の豊海地区と晴海地区では防潮堤のカバー範囲の拡大工事が進められていますので、完成後は現状より浸水域が小さくなるでしょう。
②シナリオF 室戸台風クラス(911ヘクトパスカル)、地球温暖化で海水面60センチ上昇、水門全て開放、ゼロメートル地帯の堤防破堤
中央区では朝潮運河の水門のほか、江東区湾岸エリアの水門全てが開放となった場合の想定です。
(出典:国土交通省)
実際には台風が来るのはずいぶん前にわかりますし、数100年に1度の室戸台風クラスであれば、普通は来襲のずいぶん前に水門閉鎖の対策を取るでしょうから、全水門開放というのはなかなか考えにくいケースです。
ただ相手は自然災害ですからなめてかかるのは禁物。
シナリオFに示されたように、海岸保全施設に頼って安全を確保しているのが湾岸エリアだということは、覚えておいたほうがよさそうです。
▼台風9号の進路(21日午前8時)
気象庁の予想進路です。
(出典:気象庁)
拡大すると、予想される進路は東京湾の中央部をまっすぐ横切る形になっています。
(出典:気象庁)
東京湾の満潮は午後7時台ということで台風通過後になります。
22日午前10時現在、中央区/江東区には高潮に関する注意報は出ていますが、警報は出ていません。
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高潮の話はどこかできちんと取り上げたいなあ。
(参考URL)
東京湾高潮氾濫の被害想定 (内閣府)
初稿 平成28年8月22日午前10時
更新① 午後1時
更新② 午後6時