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#957 超高層マンションの新規開発で政策転換を示唆 東京都住政審の「答申素案」を見る

 東京都が人口減少時代を迎えるにあたって、新しい住宅政策の検討が進んでいます。「どらったら!」の終了まで残りエントリ数がありませんので、「東京都住政審の答申」を素案段階ですがメモしておきます。

 

(出典:東京都)

 

 

 今回、一番注目したいのは、超高層マンション開発に関する規制や誘導のあり方をこれまでと変えることを示唆している点でしょうか。

 

 

答申素案の概要です

 

 

▼住宅政策の現状と目指すべき方向=「豊かな住生活の実現と持続」

①生涯にわたる都民の豊かな住生活実現

 量は十分。職住近接は進んだ。

 少子高齢化、単身世帯増加でライフスタイルに変化。住宅ニーズは多様化。

 ライフスタイル、ライフステージ、ニーズに応じた住宅の確保が重要

 

②まちの活力・住環境向上と持続

 平成37年に高齢化率25%超。空き家問題や地域社会衰退懸念

 今後の人口減少を見据え、既成市街地の拠点等を中心にまちづくり。

 居住の集積を進め、必要な都市機能を集約的に立地。

 

 

 

▼8つの目標

①住まいにおける子育て環境向上

②高齢者の居住安定

③住宅確保に配慮を要する都民の居住安定

④良質な住宅を安心して選択できる市場環境実現

⑤安全で良質なマンションストックの形成

⑥都市づくりと一体となった団地再生

⑦災害時における安全な居住持続

⑧活力ある持続可能な住宅市街実現

 

▼3つの着眼点

①既存ストックの有効活用

 住宅は量的に充足した。住戸面積も相当改善。建て替えより安く高い住宅性能実現可能。これまでのように作って壊すのではなく質の良い住宅を長く大切に使うことが重要。既存ストックを有効活用することで新たな住宅市街地開発に伴う公共施設整備維持コスト抑制可能。

 今後は市街地の拡大による住宅の新規供給を重視した政策ではなく、既存ストックの再生・有効活用を重視した施策展開が必要。

 

 

②多様な主体・分野との連携

 多様化する都民ニーズや地域ごとに異なる課題にきめ細かく対応するには、関係行政分野や関連団体と連携して取り組む必要がある。

 

 

③地域特性に応じた施策展開

 

 

▼具体的施策の方向性

①住まいにおける子育て環境向上

 住宅分野においても、子育てに適した民間住宅の供給促進、都営住宅でのファミリー向け住戸整備、建替え等に当たっての子育て支援施設の整備、近居・多世代同居の促進などにより子育てしやすい環境を充実していく。

・子育て世帯向け住宅の供給促進

・子育て支援住宅や支援施設の整備促進

近居・多世代同居の促進

 

 

 

②高齢者の居住安定

 高齢者が、住み慣れた地域で安心して住み続けることができるよう、地域包括ケアシステムの構築に向け、バリアフリー化され生活支援サービスを備えるなど高齢者のニーズに応じた住宅の供給を促進する必要。公共住宅の建替え等に当たっての高齢者施設の整備促進、高齢者向け住宅等への円滑な転居や、近居・多世代同居を容易にする環境整備などを進める必要。

・高齢者の資産を活用した居住安定

・サ高住などの供給促進

・住宅のバリアフリー化や生活支援施設整備促進

近居・多世代同居の促進

 

 

③住宅確保に配慮を要する都民の居住安定

・より困窮度の高い都民への都営住宅の的確な供給

=都営住宅が住宅セーフティネットの中核機能

・公共住宅有効活用

・空き家の有効活用

・住宅バリアフリー化促進

・民間賃貸住宅への入居支援

・賃貸住宅の家主リスク軽減

・福祉サービスなどと連携した居住支援促進

 

 

 

④良質な住宅を安心して選択できる市場環境実現

 これまでの「住宅をつくっては壊す」社会から、「いい住宅をつくり、きちんと手入れして、長く大切に使う」社会への移行。住宅ストックの質の向上と流通促進、住宅に係る取引の安全・安心の確保を図るための市場環境整備に取り組む必要。
 その際、市場環境は国の法制・税制に大きく依存。都は、国の施策展開を注視しつつ必要な事項を要請し、国の各種施策の都内での普及や地域工務店等との連携など、地域に根差した施策を展開すべき。

・良質なまちづくり促進

・既存住宅を安心して売買できる市場整備

・消費者や住宅所有者に対する普及啓蒙

 

 

⑤安全で良質なマンションストックの形成

 今後、超高層マンションの管理、居住以外の目的でのマンションの所有、利用や、空き住戸の発生などが問題になることが懸念。

 

 マンションは私有財産。管理や再生は管理組合が自らの責任と自助努力が基本。一方で、マンションは、地域のまちづくりやコミュニティ形成に重要。マンションの適正な管理や再生を促していくことは、公共性・公益性の観点からも重要。

 

 超高層マンションや、居住以外の目的でのマンションの所有・利用、マンションにおける空き住戸などの状況について、実態や管理に関する課題を把握し、実情に応じ、対応策を検討すべき。

 

 

⑥都市づくりと一体となった団地再生

 住宅団地の多くは、入居開始から40 年以上が経過し、建物の老朽化が進むととともに、同時期に大量に入居した世代が一斉に高齢化。

 公共住宅など住宅団地を地域の活性化等のための貴重な資源と捉え、区市町村や各管理者が連携し、民間の活力もいかしながら、利便性が高く生活しやすい環境を整えるとともに、都市づくりに活用していくことが必要。

・安全・安心に暮らせる団地再生

・地域の拠点形成などまちづくりへの貢献

・良質なコミュニティ形成

(期限付き入居制度などによる若年世帯入居促進、地域の大学の学生寮など)

・計画的な住宅団地再生

 

 

 

⑦災害時における安全な居住持続

 「自助」「共助」「公助」を踏まえハード・ソフト両面において、公民が一体となった災害に強い住宅・住宅市街地形成など、被害の軽減に向けた取組を推進し、災害時における居住の継続や早急な復旧・復興への備えを進める必要。

・地震に対する住宅安全性向上

・木造住宅密集地域の改善

・災害に強いまちづくり推進

・災害時に住み続けられる住宅普及

 

 

⑧活力ある持続可能な住宅市街実現

 利用可能な空き家の有効活用、市場動向等を踏まえた空き家の発生抑制、老朽化等により利用困難な空き家の除却を含めた適正管理、空き家所有者等への意識啓発・相談体制の充実について、区市町村の取組を積極的に支援する必要。

・空き家対策推進による地域活性化

・環境に配慮した住宅市街地形成

・緑・景観など良好な住環境の保全と向上

・持続可能な環境先進都市モデルの提示(晴海のオリンピック選手村)

 

 

 

▼立地に応じた施策のあり方

 本格的な人口減少社会においては、交通利便性の低い地域などで通勤通学を前提とした従来型の住宅需要が著しく低下する可能性。

 

①都内全域で展開すべき施策

  既存ストック活用型の市場構造への転換、マンションの適正な管理など、国の施策と連携しながら

②メリハリのある施策展開に移行すべき施策

 モクミツの改善など面的に解決すべき課題に対する取り組みをまちづくりと連携して重点的に進める/鉄道駅周辺など拠点の住宅を含む都市機能の集積強化、団地再生による新たな拠点形成/既存ストック有効活用は「拠点とその徒歩圏の既存市街地」など、対象地域を明確にして重点化を図る

 

③今後のあり方を検討すべき施策

 住宅全体の9割以上を占める民間住宅は、市場における需給構造に応じた事業者の経営判断に基づき供給されるものであるが、例えば、都心居住の推進を目的とした住宅に対する建築規制の緩和などによって、都として一定の誘導を図ってきた。

 

 一方で、人口減少社会に向かう中で、前述の答申案においては、「区部中心部における質を重視した居住への転換」として、「今後は、住宅の整備に合わせて、介護・保育機能や外国人向けの生活関連機能が充実するなど、家族構成やライフスタイルの変化を考慮した良好な居住環境を確保できる「質の充実」に転換し、多様で豊かなコミュニティを創出していくべき」とされている。


 このようなことを踏まえると、新たに大量の住宅を生み出し、都市の景観や地域の生活環境にも大きな影響を与える超高層マンションなどの新規開発については、都市づくりの観点も含め、規制や誘導の在り方等について検討を進めることが必要である。

 

 

 * * * * *

 

 

 最後の部分は注目すべき点です。方向性として職住近接の文字はなく、近居・多世代同居の文字が並んでいます。全体のトーンが「住宅の量はもう結構、今後は質の向上が重要」となっている中、新規の超高層マンション開発については、地域に与える影響が大きいとして、これまでとは異なる規制と誘導の方向性を検討することが示唆されました。文章の全体のトーンを見ると規制色が濃くなりそうな気がしますが、どうなるのでしょうか。

 

 

 宿泊者がお金を落とす都心部ホテルは緩和方向にありますね。

 

 

 

 

(参考URL)

 ― 東京都住宅政策審議会 答申素案 ―

 「東京におけるマンション施策の新たな展開について」(いずれも東京都)

 

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